アメリカ軍の新型汎用車両JLTVが海兵隊のIOCに到達
歩兵大隊への配備はじまる
アメリカ軍における汎用軍用車両と言えば現行車はHMMWV(High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle:ハンヴィー)として知られているが、その後継機種となる新型車両がIOC(Initial Operating Capability:初期運用機能)に到達したと海兵隊より発表された。
IOCとは実際に兵器や軍事システムが組織の目標とする初期機能に到達し、最小限の範囲に展開可能となった状態を指す言葉で、新型車両であるJLTVが今後段階的に実践の場に配備・展開されていくことを意味する。JLTVは2019年初頭より海兵隊歩兵訓練所などに配備されテストされてきたが、予想よりも早くその実力を認められ、早いものは既に先月から歩兵大隊にデリバリーされているという。
HMMWVの後継車種、JLTVとは?
JLTVとはJoint Light Tactical Vehicleの略称及び統合軽戦術車両と呼ばれるもので、HMMWVの後継選定プログラムと新型車両そのものを指す。IOCを満たす条件として、HMMWVと同等以上の機動性能・HMMWVよりも大きな積載量・HMMWVよりも強固な乗員の保護性能を要求されているが、予定よりも早期に目標を達成したと海兵隊戦闘開発司令部は発表した。その達成スピードは想定を1年短縮しているということだ。
JLTVに選定されたのはアメリカの自動車・軍事防衛企業であるオシュコシュ社の開発したL-ATV(Light Combat Tactical All-Terrain Vehicle)。現在世界各国でいまだに現役のハンヴィーの量産開始が1985年であるから、実に30年以上の年月を経ての新型車の導入となる。
ハンヴィーは従来型では地雷や即席爆発物に弱く、かといって装甲を追加すれば機動性が大いに損なわれかえって攻撃にさらされやすくなるという点で現代では現場からの不満も多かった。新型のJLTVではこれらの攻撃に強くなっていること、新型ながら使用方法の訓練が早く修了すること、運用における保守やインフラが整えやすいことが、早期のIOC到達を促したとみられる。
今回、アメリカ軍の中でも先陣を切る海兵隊での配備開始ということもあり、同様にHMMWVの交替を目指す陸軍、特殊作戦軍においてもJLTVの採用が進むことが予想される。長期にわたり多くの軍で使用され、数々のミリフォトや映画でも活躍してきたハンヴィーであるが、アメリカ軍ではその役目を終える日が近づいているようである。